VPSで採用されている主なLinux OSの種類と特徴まとめ
公開日: 2023.12.21
VPSで採用されている主なLinux OSの種類とそれぞれの特徴、どのLinux OSを選ぶべきかを解説します。
VPSで採用されている主なLinux OSの種類と特徴
種類 | 開発会社 | パッケージマネージャー | 特徴 |
---|---|---|---|
CentOS | Red Hat (米国) | yum, dnf | Red Hat Enterprise Linuxの無償版。 安定性とセキュリティに優れている。 |
Ubuntu | Canonical (英国) | apt | 初心者でも使いやすいGUIを備えている。 サーバー用途だけでなく、デスクトップPC用としても人気がある。 |
Debian | Debian Project (OSS) | apt | 安定性とカスタマイズ性に優れている。 サーバー用途だけでなく、組み込みシステムやIoTデバイスにも採用されている。 |
Fedora | Fedora Project (OSS) | dnf | 最新のソフトウェアをいち早く取り入れることができる。 開発者やエンジニアに人気がある。 |
OpenSUSE | SUSE (ドイツ) | zypper | 使いやすいGUIと豊富なソフトウェアを備えている。 ドイツのSUSE社が開発している。 |
Arch Linux | Arch Linux Community (OSS) | pacman | シンプルかつ軽量なディストリビューション。 Rolling Releaseモデルで最新ソフトウェアを提供。カスタマイズ性が高い。 |
Rocky Linux | Rocky Linux Foundation (米国) | yum, dnf | CentOSの開発終了を受けて、Red Hat Enterprise Linuxとバイナリ互換のOSとして開発された。 |
Oracle Linux | Oracle (米国) | yum, dnf | Red Hat Enterprise LinuxをベースとしたOracle社製のOS。 |
AlmaLinux | AlmaLinux OS Foundation (米国) | yum, dnf | CentOSの開発終了を受けて、Red Hat Enterprise Linuxとバイナリ互換のOSとして開発された。 |
MIRACLE LINUX | サイバートラスト株式会社 (日本) | yum, dnf | サイバートラスト株式会社が提供する無償かつ日本製のRed Hat Enterprise Linuxクローン。 |
FreeBSD | FreeBSD Foundation (米国) | pkg | フリーでオープンソースのUnix系OS。 |
CentOS
日本のVPSで使うOSの定番中の定番がCent OS。ほぼ全てのVPSサービスにデフォルトで用意されています。
Cent OSの開発元であるRed Hatは、2021年12月8日に「CentOSの開発を2022年12月31日に終了する」というアナウンスをしたため、後継の代替OSとしてRocky Linux、AlmaLinux、MIRACLE LINUXなどが誕生しました。
最終的にRed Hutが無償版Cent OSの後継である「CentOS Steam」がリリース。CentOSはRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のクローンOSですが、CentOS Streamは、RHELがリリースされる前にマイナーアップデートに更新されるパッチなどを検証するために利用されるOSという立ち位置になります。
Ubuntu
日本でもユーザーが多いLinux OSであるUbuntu。デスクトップ版や組み込み機器向け版にも力を入れており、対応機器が広いのが特徴。開発者向けのPCにデフォルトでインストールされることも多いOSです。
Ubuntuは最新版がリリースされる「リリース頻度の高さ」も魅力の一つ。毎年アップグレード版がリリースされ、2年に一度LTS(5年の長期サポート、さらに5年の延長サポート)版がリリースされます。
また、デスクトップ版もあることで、サーバーと作業用のPCのOSを統一させることができるのもメリットの一つでしょう。
Debian
UbuntuのベースOSでもあるDebian。安定性が高く、自由度の高いサーバーOSです。
Ubuntuと比較すると機能面や新しい取り組みは少ないですが、何よりも安定性が高いため、自分でVPSサーバーOSをカスタムして使う場合に最適なLinux OSです。
Fedora
Fedoraは、RHELのベースとしてFedoraコミュニティによって開発されているLinux OS。CentOSを開発するRed Hatがサポートをしています。
同じREHLをベースにしたCentOSと比較すると、Fedoraはメジャーバージョンのリリースサイクルが早く、「安定性よりもいち早く新機能が投入する」というコンセプト、そしてデスクトップ版が充実しているという違いがあります。
また、CentOSがRed Hutによる開発・サポートがあるのに対して、Fedoraは開発・サポートがコミュニティであるという点が異なります。
OpenSUSE
ドイツのSUSE社によって開発・配布されているのがOpenSUSE。安定性を重視しつつ、YaSTと呼ばれる使いやすいツールと豊富なソフトウェアを備えている点が特徴。
ただ、日本ではCentOSやUbuntuほど人気がないOSでもあります。
Arch Linux
Arch Linuxは、「シンプルで軽量」「Rolling Releaseモデル」が特徴のLinux OSです。Rolling Releaseなため、ソフトウェアの最新バージョンが利用可能になるとすぐにアップデートできるという特徴があります。
カスタマイズ性が非常に高い「pacman」と呼ばれるパッケージマネージャーを使用しており、ユーザーが自らシステムを構築しカスタマイズすることを重視しており、最軽量OSから自分好みに組み上げていく方式です。
そのため、比較的技術的な知識が求められるため、Linux玄人に特に好まれるOSです。
Rocky Linux
Rocky Linuxは、CentOSの開発終了を受けて、CentOSと互換性のあるバイナリ互換のOSとして開発されました。
Rocky Linuxは、Red Hat Enterprise Linuxと同じく、企業向けサポートが提供されています。そのため、CentOSからの移行を検討しているユーザーにとっては頼りになる選択肢となっています。
Oracle Linux
Oracle Linuxは、Oracle Corporationによって開発された、Red Hat Enterprise LinuxをベースとしたLinux OSです。Oracleの製品との統合を重視しており、Oracleの製品と組み合わせて利用する際に最適です。
また、Oracle LinuxはKspliceと呼ばれる技術を使用して、カーネルのリブートなしでのセキュリティパッチの適用が可能です。これにより、システムのダウンタイムを最小限に抑えることができるという特徴があります。
AlmaLinux
AlmaLinuxは、CentOSの開発終了後にCentOSとの互換性を保ちつつ、Red Hat Enterprise Linuxとの互換性も持つOSとして開発されたCentOS後継OSの一つ。
MIRACLE LINUX
MIRACLE LINUXは、サイバートラスト株式会社が提供する無償で日本製のLinux OS。Red Hat Enterprise Linuxクローンで、CentOSの後継OSの一つです。
安定性とセキュリティに優れ、日本語のサポートが充実しているため、日本国内での採用が広がっています。
FreeBSD
FreeBSDは、Unix系のオペレーティングシステムであり、カリフォルニア大学バークレー校で開発されました。優れたネットワーク性能や安定性、そして高いセキュリティ機能が特徴のLinux OSです。
pkgパッケージマネージャーを使用してソフトウェアを管理し、ポートシステムを通じてソフトウェアをソースコードからビルドすることも可能です。
VPSで使うならどのOSが良い?
使いたいアプリケーションの対応OSを使おう
VPSをLinux OSで動かす場合、Webサーバーやデータベースなど何かのアプリケーションを使うことになります。そのため、使いアプリケーションをインストール可能なLinux OSを選ぶのが最優先です。
最近のLinux向けアプリケーションは、Debian系とREHL系はほぼ対応しているのでその二つであれば間違い無いですし、メジャーなアプリケーションならある程度マイナーなLinux OSにも対応していますが、OSの再インストール&サーバー再構築は時間のかかる作業なので、初期OSを選ぶ際は必ずアプリケーションが対応しているかもチェックしましょう。
コミュニティが大きく、日本語情報が多いCentOS系かDebian系がベスト
サーバーを運用する際は、設定やインストールをする際に大小様々なトラブルに遭遇します。そうした時に重要なのが英語圏のコミュニティの大きさと、日本語情報が豊富さ。
コミュニティが大きいと、ちょっとしたバグもGithubのissueに上がってユーザー同士で解決策を模索するので、トラブルに強くなります。また、日本語情報が多いと初心者の方でもVPSサーバーの構築や運用で躓くことが少ないでしょう。
VPSサーバーは立ち上げた時だけでなく、その後の運用の方でも知識やコストがかかるので、情報が多いOSを選んだ方が運用が楽になります。
「知り合いが使っているOS」というのも一つの手
もし知り合いにVPSサーバーを使っている人がいるなら、その人と同じOSに合わせるというのも良い手です。
何かつまづいたら気楽に相談ができますし、自分が得た知見を共有することでお互いにハッピーになることができます。
価格は記載がある場合を除き、すべて税込みです。
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