Cloudflareの「Email Routing」とGmailで独自ドメインメールを完全無料で運用する方法
更新日: 2023.2.14公開日: 2022.1.7
2021年にスタートしたCloudflareの「Email Routing」。この機能とGmailの「メールアドレス追加」機能を使えば、サーバー不要で独自ドメインメールを完全無料で運用することが可能です。
Cloudflareの「Email Routing」とは?
Cloudflareの「Email Routing」は、いわゆるメール転送サービスです。ドメインレジストラが運営しているメール転送サービスは月額課金のものがほとんどですが、「Email Routing」は無料で使うことができます。
「Email Routing」はドメインのメールアドレスと転送先のメールアドレスをCloudflareの管理画面上で設定し、ドメインのDNSレコードを書き換えるだけでドメインメールが使えるようになるため非常にシンプルで簡単に使えます。
ただし、「Email Routing」が行うのは受信したメールの転送だけなので送信はできません。しかし、Gmailなどの独自ドメインでメール送信ができるサービスを使えば、メールサーバーなしで完全無料でドメインメールを運用可能です。
Cloudflareは無料からスタートできるサービスなので、当然クレカ情報なども不要で、完全無料で使えますが、ドメインのネームサーバーはCloudflareにする必要があります。
ドメインメールを無料運用する方法
Cloudflareの「Email Routing」にアクセス要求をする
Cloudflareの「Email Routing」は現在はベータ版で招待制になっているため、Cloudflareの独自ドメインのプロパティから、「Email Routing」へのアクセスを要求します。
「Email Routing」が使えるようになるとCloudflareからアカウントメールアドレス宛に「Cloudflare Email Routing beta is now available for ドメイン名」というメールが届くので、届いたら使用できるようになります。
ドメインのDNSレコードを追加する
Cloudflareの「Email Routing」が使えるようになったら、まずは独自ドメインのDNSレコードにCloudflareのEmail Routing用のDNSレコードを追加する必要があります。
ただ、この作業はCloudflare側でほぼ自動で行なってくれるので、ドメインプロパティの「メールアドレス > メール DNS レコード」のブロックのボタンをクリックするだけの簡単作業です。
転送先メールアドレスを登録する
続いて、Cloudflareに転送先のメールアドレスを登録します。転送先アドレスの登録はドメインプロパティの「メールアドレス」ページから「宛先アドレスを追加」ボタンで追加できます。
登録をすると、登録したメールアドレス宛にCloudflareから「メール ルーティング アドレスの確認依頼」という件名メールが届くので、メール内の「メールアドレスを確認」リンクをクリックして、メールアドレスを承認します。
一度承認したメールアドレスは、同じアカウント内であればどのドメインでも使用可能です。
独自ドメインのメールアドレスを作成する
転送先メールアドレスの追加ができたら、あとは実際にメールを受け取るメールアドレスを作成します。メールアドレスの作成件数に上限は無いようなので、好きなだけ作成可能です。
転送先のメールアドレスも複数登録可能なので、例えば複数のフリーランスメンバーで運営しているプロジェクトサイトなどでは、独自ドメインのアドレスと転送先のアドレスを1:1で複数作成すれば、メール環境は別々のGmailアカウントのまま、メールアドレスだけを独自ドメインで統一できます。
Gmailで独自ドメインでメール送信をする
今や世界最大級のメールサービスとなったGoogleのGmail。実は、Gmailからドメインメールを送信する設定があります。この設定は、無料の個人向けGmailでも使えます。
設定方法はやや複雑ですが、下記の通りになります。
- PCのブラウザでGmailにアクセス
- 右上にある設定アイコンをクリックして「すべての設定を表示」をクリック
- 「アカウントとインポート」タブをクリック
- 「名前」のブロックで、「他のメール アドレスを追加」をクリック
- ポップアップされたウィンドウで、名前とアドレス(独自ドメイン)を入力
- 「エイリアスとして扱います。」にチェックを入れて、「次のステップ」をクリック
- 「SMTP サーバー」にsmtp.gmail.comを入力
- 「ユーザー名」にGmailのアカウントを入力
- 「パスワード」にGoogleアカウントで作成したアプリ・パスワード(詳細は下記で)を入力
- 「アカウントを追加」をクリック
- 「Gmailチーム」から届いた確認コードを入力
わかってしまえば難しくない流れなのですが、各単語の使い方が「どのアカウントのことなのか?」とパニックになりがちで、意外と手こずります。
特に問題は「アプリ・パスワード」で、ここだけはGoogleアカウントページの「セキュリティ」ページにある「Google へのログイン」の「アプリ・パスワード」で作成します。
作成したパスワードは二度と表示されないのでしっかりコピーしておきましょう。なお、一つのアプリパスワードで、複数の送信メールアドレスを作成できます。
送信・受信のテストができたら完了!
ここまで作業をすれば、Cloudflareの「Email Routing」とGmailでドメインメールを完全無料で運用する設定は完了です。
テストとして、作成したメールアドレスでの受信・送信ができるかをチェックしたら、そのまま永久に使うことができます。
注意点としては、受信も送信もGmailで行うので、個人のGmailアカウントなどに転送する設定になっていると、個人メールと混同する可能性がある点です。
企業などでこの方法を使う場合は、個人のGmailアカウントではなく別途Gmailアカウントを作成した方が良いでしょう。別のGmailアカウントと切り替える手間はありますが、セキュリティの高いGoolgeのアカウント管理下で独自ドメインメールを無料で使えるメリットを考えたら、安いものです。
価格は記載がある場合を除き、すべて税込みです。
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