クラウド破産を防ぐためにやっておきたいこと
従量課金で使った分だけ課金されるのが便利なクラウドサーバー。ただ、しっかりと設定をしておかないと、ある日突然、数百万の高額請求が来たなんていう「クラウド破産」もありえます。今回はクラウド破産を防ぐためにクラウドサーバーを使い始めたらやっておきたいことをまとめました。
クラウドサーバーの課金を仕組みを理解する
まず一番大事なのは、クラウドサーバーの課金を仕組みをしっかり理解することです。
クラウドサーバーの料金というとどんなイメージを持っていますか?多くのユーザーが「使った分だけ課金だから無駄がなくてコスパがいい」というイメージがあるかと思います。
クラウドは「使った分だけ課金」と言えば聞こえはいいですが、実際には「使えば使うほど青天井に課金」というのがクラウドサーバーです。
しかも、Google App Engineのスタンダード環境など、一部サービスや機能には使用量の上限設定が搭載されていますが、クラウドサーバーの大部分は「これ以上は課金しない。この金額に到達したらサービスを止める」という機能がありません。
つまり、クラウドサーバーとは「ユーザーが機能をオフにする(削除する)ことがない限り、永久に課金し続けるビジネスモデル」なのです。
クラウド破産を防ぐ設定
話には聞くけど、本当にクラウド破産なんてあるの?と思うかもしれませんが、「クラウド破産」で検索するだけでも、山のように体験談が出てきます。そして、それらのクラウド破産に共通するのは「ユーザーの設定ミスや不注意が原因」となっている点です。
サービス側でなくユーザー側の要因でサーバー費用が巨額になってしまうので、万が一間違った設定で高額請求になっても、言い逃れが出来ないのが辛いところです。
そうならないためにも、ここからはクラウド破産を防ぐためにやっておきたいことを見ていきましょう。
(1) 予算アラートを設定する
これは絶対に必須です。必ず設定しましょう。
ただ、ここにもクラウドサーバーの罠があって「予算アラート」設定であって、「予算設定」ではありません。あくまで「アラートを飛ばす設定」なので、アラートが飛んだ後も課金は永遠に続きます。
ですので、予算アラート設定はしつこいくらいにしておくの必要があります。予算設定は通常いくつか設定ができるので、
- 想定するの課金上限(無料がいいなら1円)
- 課金されても許容できる上限(100円くらいならいいか、など)
- これ以上は絶対課金したくない上限(遊びサーバーなのに、1000円も払いたくない)
- これ以上は絶対課金したくない上限 * 5 (こんな金額請求されたら本当にやばい)
この4つは、最低でも設定しておきましょう。
また、メールを飛ばすアドレスは、常時チェックできるアドレスにして、スマートフォンなどで常時確認できるようにしましょう。
(2) お試しで機能を使ったあとは「必ず削除」
これもありがちなのですが、「無料枠が3万円分もあるから、高性能GPUのサーバーを試そう」なんて気軽に使い始めると、数時間後には無料枠を余裕で超えて高額課金がスタートします。
また、無料枠があるからといろんな機能を試してみて、そのままにしてたら「気づかない間に無料期間が終わっていて、有料課金がどんどん増えていた」というのもよくある話です。
「常時使う」と決めたもの以外は、必ず使用後に削除しましょう。もっというと、ブラウザのクラウド管理画面を閉じる前に、使った機能は全て消すくらいでもいいでしょう。
クラウドサーバーの無料枠は、サービス側が「試しに色々使って欲しい」というサービス精神でくれている枠です。無料枠だけで1円も課金できなかったら、サービス側はまるっと損になります。
しかし、ここはあえて、クラウドサーバーの無料枠とは「とりあえず使わせて、知識のない奴らをじゃんじゃん課金させるための甘い餌」と思っておくくらいが安全です。(もちろん、例えですが)
(3) セキュリティキーは厳重管理(git管理下や公開サーバーに置かない)
クラウドサービスは、複数人数で管理する体制を作りやすくするために、権限を付与するための「アクセスキー」というものを生成できます。このアクセスキーの作り方や管理方法が複雑で、初心者はとりあえずどっかの記事とかのまんま作るということも多いでしょう。
たまたま、それがフルアクセスできるのキーで、そのキーを、
- Github上で公開してしまった
- 間違ってGoogle Driveに同期して公開してしまった
- 公開サーバーの「外部から見れるディレクトリ」に公開してしまった
なんてことがあったら悲劇の入り口です。
世の中には、クラウドサーバーのキーを探し回るボットなんかもあって、そのキーを使って仮想通貨のマイニング(高性能サーバーが必要)に使われて高額請求されたというケースもあります。
「セキュリティキーは使ったら消して、次に使うときは新たに作る」くらいの気持ちが大事です。
(4)クレカ登録はなるべくしない、登録するなら普段使いのカードを
クレカ登録なしで多くの機能が使えるクラウドサーバーは実質ほとんどありませんが、クレジットカード情報がない限り、サービス側は課金ができないため、「クレジットカード登録がない場合は機能を制限する」ということがほとんどです。
機能は制限されますが、課金されるようなリスクもなくせるので、出来るだけクレジットカードの登録はやめましょう。ただし、クレジットカードの登録がなくても、請求書が飛んでくることもあるので、安心は禁物です。
また、クレジットカードを登録するにしても、請求を頻繁にチェックするような常用カードにしましょう。あまり使わないカードだと、請求のチェックをし忘れて、高額課金が数ヶ月続いてから気づくなんてこともありえます。
簡単にですが、クラウド破産を防ぐためにやっておきたいことをみてきました。
かくいう筆者自身も、仕組みも課金体系も理解しないで、ネットの記事の設定をそのままコピーして使ったまま放置していたサーバーが、別の設定をオンにしたタイミングで復活してしまい、知らない間に全く使ってないサーバーに10日ほどで数千円課金されてしまった経験があります。
筆者の場合は数千円だったのでよかったですが(こんなこともあろうかと、登録クレジットカードを、常時ほぼ空の銀行口座に付帯していたVISAデビットにしてたので、請求エラーでクラウドからメールが来て気づきました)、普通にクレジットカードで登録して翌月末の請求まで気づかなかったら、数万になっていたと思うと震える思いでした。
皆さんは、そうなる前に、面倒でも今回挙げたことをやって、クラウドサーバーで無駄なお金を支払ってしまうことを避けてください。
価格は記載がある場合を除き、すべて税込みです。
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